3月のライオン ~涙の足りないあなたへおすすめする3つのポイント~
はちみつとクローバーの作者、羽海野チカさんの作品です。
2015年10月現在、11巻まで刊行中です。
あらすじ
主人公は、東京の下町に暮らす、17歳のプロの将棋の棋士=桐山零。
しかし、彼は幼い頃、事故で家族を失い、深い孤独を抱えた少年だった。
そんな彼の前に現れたのは、あかり・ひなた・モモの3姉妹。
彼女たちと接するうちに零は・・・。
様々な人間が、何かを取り戻していく優しい物語です。
本当、やさしいお話です。
設定上、将棋の話も多く入ってきますが、
わからなくても大丈夫です。私もわかってませんが、感動できます。
勝手ながら、私の思うこの作品の魅力をいくつかご紹介します。
将棋、そして、プロという世界。
主人公の桐山君は、プロ棋士という職業に高校生で就いています。
もちろん、それは偉業中の偉業。天才として周囲から評価されています。
その評価は、素晴らしいものではありますが、
一方で彼を苦しめる要因にもなります。
彼にとって、将棋の道は選ばざるを得ないものでした。
また、彼が唯一積み上げてきた、希望とも呼べる武器でした。
それを失くすことは、彼にとっての絶望と変わりありません。
常に追い込まれ、常に高みを目指さなければいけないプレッシャーがまといます。
もちろん、プロの世界ですから、真剣勝負です。
高校生だからといって、手加減をするような人たちはいません。
そんな世界で生き残ることは、とてつもない努力が必要なのです。
しかし、将棋に対する世間の目は、厳しいものです。
大会にさっと出て、お金をもらっている。。
趣味だけでお金がもらえていいな。。
まったくそんなことはなく、年中将棋に向き合っているんです。
相手の棋譜を眺めて研究し、詰将棋で頭を回転させる、、そんな生活です。
そんな将棋、またはプロの世界で、孤独に生きている。
優しい物語の裏で、厳しい世界を対比させているところが、魅力の一つです。
数少ない、仲間の優しさ
この漫画の優しさ成分は、どのキャラクターにもあります。
ありますが、抜きんでているのが、零君の家族ともいうべき、3姉妹です。
その裏には、親のいない悲しみももちつつ、
零君には無償の愛情を注いでくれます。私も出会いたかった。あかりさん。
同世代となる、ひなちゃんは、天真爛漫な明るい子です。
孤独に戦う零君にとって、それはとても大きな光です。
物語を進めていくと、零君の持つ強さで、彼女を守ろうとします。
それは将棋のほかに見つけた、生きる希望でもあるからです。
そんなお互いの優しさが美しく、感動できます。
感動成分はこの優しさが主ですね。
とにかく読んでほしいと、切に思います。
忘れかけていた気持ちが思い出されるような、そんな気がします。
誰かの胸にある、問題をテーマに。
将棋の世界の厳しさ。そして登場人物の優しさ。
それらを、色々な問題が取り巻きます。
零君の養子問題。
ひなちゃんの学校、あかり姉妹の家族、その他。。。
社会問題にも臆せず切り込んでいく、そんな漫画ですが、
誰でも知っているものなので、考えさせられます。
どうすることが一番優しくいられるだろう?
そんな形で、答えを一緒に探せます。
この辺は宇宙兄弟にも共通した特徴です。宇宙兄弟も書きたいですね。
ほかにも、特徴的な絵柄と文字の流れもそうですし、
音楽とコラボしていたりと、魅力はやまないこの「3月のライオン」。
まだまだ話は続いていますので、ぜひお買い求めください。
ひなちゃんの光は、とても感動できます。